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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

公卿と申せば、ただなよかに、世事も知らぬ気にとりすましている貴人かとのみ、心得ておりましたるに」

「ああいう公卿も居る時世かと、わしもまた初めて知った。ひそかに、観やッたところ、鷹野の狩装いはしていたが、獲物は持たぬ。そのうえ、手に披いていた漢書の題簽には“資治通鑑”としてあった」

「その資治通鑑とか申しますのは」

「近年、堂上を風靡していると聞く異国の新しい学説の書だ。いわゆる宋学と申すもの。程朱の新説とか、温公の通鑑などを読まぬものは、頭のふるい古公卿じゃといわるるそうな。……これは時勢の流行の一つと、六波羅の伯父上からも伺うたのだが」

「ははあ、では舟で見かけたあの仁などが、つまり当世の、新公卿とでも申すものでございましょうか」

「いや、そんな衒学だけなら、なにも眼を瞠りはしない。わしが奇異を感じたのは、べつな点だ。あの乗合客の中で、独り他念なく読書三昧の態だったが、その閑な姿には、どことなく、武人の骨ぐみが出来ている。すこしも体に隙がない。――およそ公卿が日頃に武技の鍛錬もしているという世はいったい何を語るものか。そぞろわしは怖ろしくなった。武門の子のわしが、こんなことでいいのかしらと思われての」