Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
舶載の物でもあるか」
あらぬ問いには、道誉の方でも、それを高氏の独り言にさせて、答えもしない。
黙々と、次の茶を、土岐左近に与え、自分の掌にも一碗を乗せた。
「鎌倉はよくご存知でしょうな」
緒をさがすような口ぶりで、しばらく間を措き、
「たしか、足利殿の鎌倉の別邸は、大蔵ヶ谷であったと思うが」
「いや、その鎌倉の家には、幼少数年はいたが、以後、多くは足利の地でした」
「では、府内のさま、執権どのの左右、また御所内のことなどは」
「くわしく存じもよらぬ。いずれいつかは幕命を拝して、鎌倉勤めの日もあるでおざろうが」
「その日には、おそらく、おん許のような純なお人は、あきれ返るに違いない。これが天下の首府かと、鎌倉の腐えたる醜さに、今から、驚かれぬご要心でもしておかれぬとな」
世の危うさが人の口端にのぼりだすと、たれもがみな、同じようなことをいうものではある。――高氏は薄ら笑った。そして敢てにも、自身を聞き人においていた。
「この道誉とて、鎌倉の恩寵をうけた一人、なにも世変を好むものではないが、かなしいかな、天運循環の時いたるか、北条殿の世もはや末かと見すかさるる。