Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
が、もひとりの権大納言ノ局には、そんな懸念もない。藤原為道のむすめで、美貌ではあるがただもう気だてのよい――帝にいわせれば、毒にも薬にもならぬ麗人である。いわば女の三人三様を幕府が選んでよこしたようなものだった。猜疑すれば、色糸の色も芯もちがうこう三つの鞠を後醍醐がいかに綾なすかを、幕府の意地悪い目がひそかに見ようとでもするものなのか。
いや、小宰相を秘偵につかう策はあっても、現幕府にそんな余裕などはない。現実は、苛烈だった。ふくむところは、もっときびしい。
すでに、この十二月二十四日には、鎌倉表の評定で、後醍醐のご処分を、
隠岐ノ島へ
と、配流の決定をみていたのであり、それの御裁可を仰ぐ手続きが、もう極密裡に、後伏見院、花園院の二上皇のお手もとまで差し出されていたのだった。
後醍醐はゆめ御存知ない。
佐々木道誉ですらも、まだその決定は知らず、妃三人を送りこんだ次の日も、なお、樗門の内へ来て、行房と忠顕に会い、昨夜の御気色ぶりなどを、それとなく洩れ伺ッたりなどしていた。
「いやもう、およろこびは絶大なもの。昨夜はお妃三人にかこまれて、お上にも夜もすがらなおものがたりでした。