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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

――と、その広い地域をななめに、法印良忠は、きれいな小姓やら侍者を連れて、これへ来るなりすぐ地に仆れている居酒屋のおやじの姿に目をとめていた。

「これ。なにをしたのだ、その者は?」

「はっ」

「町人ではないか」

「さようで」

「だいぶ足蹴にあって、傷みつけられている容子だが」

「捨ておけぬ奴でございまする」

「間諜か」

「いや、たかが居酒屋のおやじではございますが、御新政にそむいて、楮幣を受けとらぬばかりか、こんな物は紙クズだなどと、恐れもなく、人中において政治のご誹謗を吐ざきましたゆえ、懲らしめずばなるまいと」

「ははあ、こやつも楮幣に不服なのか。ならばなぜ、折檻などせず、表向きに、検非違使ノ庁へつき出さんか。――この良忠から一札を添えて引渡してやる。のちほど、表役人の手もとまでつれて来い」

法印は、颯爽と、小姓たちを連れてすぐ歩きかけた。

すると、私兵頭の侍の一人は、自分たちでも、じつは内々不安としている楮幣の真価を、ふと、法印その人へ、直接ただしてみたくなったのだろう、つい思い余った容子で、

「ただその、念のため、お伺いしてみるだけでございますが、ほんとに、手前どものいただいている楮幣は町で費ってもよろしいンでございましょうか」