Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
たったいま強盗が押入り、あるじ、雇人をみな縛りあげ、土蔵を破りにかかっているとの訴えだった。
それ行け。
と、居合わせた篝屋武士十人ほどがすぐ駈けつけた。
ところが強盗は、いわゆる群盗であって、それ以上な徒党であり、しかもおそろしく勇猛で、歯が立たない。
そこで辻々の篝屋へも、馬触れを廻し、相互、幾人もの死傷を出したあげく、やっとのことで、首魁と見られる者四人を、数珠ツナギとして、これを直義の前につき出した。
直義は見て憎んだ。
うち一人は大法師である。
「きさまらは、そも、どこの何奴だ。かりそめにも、悪事濫行におよぶ徒は首斬るぞと、辻々にも、足利殿の御教書(軍の政令)を以て、厳に布令てあるを知らぬはずはあるまい」
と、きびしく責め、
「坊主の寺はどこだ。また三名の主人はたれだ。所属を申せ。いわねば、拷問にかけるぞ」
と、脅したが、四名とも唖かつんぼのように一言の答えも吐かない。のみならず、直義が“御教書”といったときは、ふんと、鼻さきで笑うような風があった。
「こやつ。ただのあぶれや強盗とも思われぬ。よし、ひとまず六条の獄へ放りこんでおけ」
こんな小事件などは、高氏には小耳にも入っていない。