Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

「舟の出る明け方まで、私たちもここにいて、共に、一夜を過ごしましょう。いずれ、しかるべきお方の末とは存じますが、おん母子、心を協せて、琵琶御修行の上洛とは、お羨ましい。自分も、じつは芸道執心の者ですが、それも能わず、むなしく、こう漂泊うている者でございまする」

訊きたいことも、後に廻して、彼はまず、そんなことから、母子の口を解しにかかった。

盲人は、話を愉しむ。

話が、芸道にふれ、わけて琵琶のことにおよぶと、覚一はひとりでしゃべッた。

――自然、問わず語りにも、草心尼母子の素姓から、都へ出て来るまでのいきさつなども、わかってくる。

だんだんと聞いて来て、元成は、いかにも意外そうだった。

「……では、東国の足利殿と、よく人の噂にも出る、高氏どのと仰せられるのは?」

「ええ、その高氏さまは」

と、覚一は、何のためらいなく、

「この母には、甥御。……ですから、私には、いとこに当るお方です」

「そうでしたか」

と、元成は、感嘆に似た、ため息をもらして。

「それほどな御身分も打ち捨てて、琵琶一芸に生涯かけての御精進とは、よくよく固いお覚悟でなければなりますまい。元成などは、お恥かしい」