Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
五の一
なにか高く叫んだと思うと、持っている物を投げだし、身構えをして、疾走して来る利秀の馬へと、みごとにとびついた。……そのとき孝之助は、十二三間近くまで追いついていたが、その侍を見てほっとしながら、手綱を絞った。
「――岡村……、八束」
五の一
父の一周忌の少しまえに、妻の杉乃が男の子を産んだ。
父の亡くなる前後、胃を病んでいると(杉乃自身も)思っていたのが、まもなく妊娠だとわかってから、孝之助の心にはひとつの期待がうまれていた。子を持つと女の感情は変るという、子供は二人の血をつなぐものだから、その子を通じて、妻の心が接近してくるかもしれない。
――どうかそうあって呉れるように。
誇張していえば祈るような気持で、彼はそう願っていた。
出産の予定日の七日まえから、笠井の義母が来ていて呉れた。夫婦の仲がうまくいっていないことを、彼女もうすうす感づいていたのだろう、お七夜を済ませて帰るとき、孝之助の部屋へ来て、さりげない口ぶりで云った。
「わがまま者で、いろいろ御不満もございましょうが、これで母親にもなったことですし、少しはおちついて呉れるだろうと思います。どうかもう暫くがまんしてやって下さいまし」