Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「もん」

「紋」

黒島 伝治

Lesen Sie 「紋」 (「もん」) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.739 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

「また味をつけて鶏を捕りやがった。今度は雛じゃなしに鶏じゃ。」地主の下男が、喧嘩腰で、また奴鳴りこんできた。

「一体、お前等が悪いんじゃ。戻らんとこへ捨てりゃえいことを、捨てもせず、放ったらかしじゃせに、よその鶏を捕るんじゃ。これは三円もする鶏じゃないかい。――こんなことしよったら、田や畠も旦那に取り上げられて、作らして呉れやせんぞイ。」

下男は、鶏が一羽なくなったところで自分の損でもないのに、如何にも惜しそうな調子で文句を並べたてた。

猫は、後脚に礫をあてられて、血を流しながら竈の傍につくなんでいた。

「今度見つけたら、見つけ次第に叩き殺してやる!」下男はこんな捨てせりふを残して去った。

「殺されたら可愛そうじゃせに、よそイ出て行かんように、家につないどこうかいの。」ばあさんは麦蒔きに、畑へ出かけしなに、じいさんにそう云って、「紋」を細紐で柱につないでおいた。

後脚の礫があたったところは、禿になった。毎年猪の子に旦那の家から部落中に配ってくれる団子は、その年に限って、おりくの家へだけは呉れなかった。

ついに、ばあさんは、港から出る発動機船に頼んで本土へ猫を積んで行って貰った。