Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
と、お春が汗で真っ紅になった顔をして、明石縮をよれよれにして這入って来た。彼女は今、日光からの帰りがけで、お久と一緒に雷門から地下鉄に乗ったのであるが、ちょっと御寮人様にお目に懸って今日のお礼を申さなければと思いまして、尾張町で自分だけ下りてお伺い致しました、と、そう云って、これはお嬢ちゃんにと、日光羊羹を三棹と絵端書とを出した。
「このお土産、折角やけど、うちより渋谷の方へ持って行ったげなさいな」
「はあ、はあ、彼方へも買うて参りました。お久どんが先に持って帰りましたのでございます」
「それはまあ、こんなに沢山に、………」
「華厳の滝見た? お春どん」
と、悦子が絵端書をひろげながら聞いた。
「はい、東照宮から、華厳の滝から、中禅寺湖まで、………お蔭様で何から何まで見物さして戴きました。………」
ひとしきり日光見物の話が栄えたが、お春が「富士山も見えましてございます」と云い出したのが問題になった。
「へえ、富士山が?」
「はい」
「何処で見えたん」
「東武電車の中でございます」
「東武電車で富士山見える所あるやろか」
「ほんまかいな、お春どん、富士山の恰好した山と違うか」