Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

と云うのは、悦子が病室に使っている離れ座敷、―――平素貞之助の書斎になっているその一と棟は、金網の垣根とは違う別の板塀で、全く覗かれないように囲ってあるけれども、距離的には一番裏の家に近いので、もとシュトルツ一家がいた頃には、貞之助の方が屡ペータアやローゼマリー等の騒ぐ声に悩まされたものであった。だからそこで蓄音器を懸ければ、やかましやの瑞西人ボッシュ氏の癇に触れることは当然であった。なおついでだから此処でちょっとボッシュ氏のことに及んで置くと、前にも云った通りこの人は名古屋の方に勤め口を持っているらしいのであるが、こんな叱言を云って来るのでも明かなように、時たま此方へ帰って来て滞在することもあるのであった。が、彼がどんな人であるか、蒔岡方ではまだ誰も彼の正体を見届けた者がなかった。シュトルツ時代には、主人シュトルツ氏以下、夫人や子供達が始終露台に現れたり裏庭へ出て来たりしたものだけれども、ボッシュ氏になってからは、夫人が時々姿をちらつかせるぐらいなもので、ボッシュ氏その人は嘗て現れたことがない。そのくせ、露台へ椅子を持ち出して、密かにそれに腰掛けている折もあるらしいのだけれども、今度露台の鉄柵の内側へ、ちょうど椅子に掛けた人の頭の高さぐらいに、板囲いをしてしまった。