Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
雪子も、時節柄と云い、乗合客の眼を惹くような身なりをするのは厭だったので、衣裳は別に鞄に詰めて持って行きたかったのであるが、何分にも打ち合せがよく出来ていないので、ひょっとすると、向うへ着くともうその人が待っていると云うようなことがあるかも知れない、旁支度をして行った方がよいであろうと云うことになって、これはひとしお着附に念が入っていた。出がけに大阪まで省線電車で一緒であった貞之助は、向う側にかけた雪子の姿をしげしげと見守りながら、
「若いなあ」
と、今更のように幸子の耳元で嘆声を発したが、ほんとうに、これを三十三の厄年の人と見る者はないであろう。細面の、淋しい目鼻立のようだけれども、厚化粧をすると実に引き立つ顔で、二尺に余る袖丈の金紗とジョウゼットの間子織のような、単衣と羅衣の間着を着ているのが、こっくりした紫地に、思い切って大柄な籠目崩しのところどころに、萩と、撫子と、白抜きの波の模様のあるもので、彼女の持っている衣裳の中でも、分けて人柄に篏まっているものであったが、これは今度のことが極まると同時に東京へ電話を懸け、態々客車便で取り寄せたのであった。