Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

この前、この姉妹達が茸狩に招かれたのは、幸子が娘時代を送った最後の年の秋のことで、当時既に貞之助との婚約が調っており、その二三箇月後に式を挙げたのであったから、それは大正十四年で、今から十四年前、幸子が廿三、雪子が十九、妙子が十五の折であった。その頃はまだ未亡人の連れ合いが生きていて、この人の訛が殊に著しく、この地方特有の、「たい」を「てゃあ」、「はい」を「ひゃあ」と云う風に発音するのが可笑しくて溜らず、老人の口からその音が出る度に三人眼を見合せて死ぬ苦しみをしているうちに、「先祖のお位牌」と云うのを「先祖のおいひゃあ」と云った途端にとうとう笑いを爆発させてしまい、義兄の辰雄に苦い顔をされたことを今も覚えているのであるが、辰雄は関ヶ原役の軍記物などにも名が出ていると云う郷士の菅野家を親戚に持っていることが、余程自慢であるらしく、機会があると此処へ鶴子や義妹達を引っ張って来たがったものであった。そして附近の古戦場や不破の関趾などを得意になって案内するのであったが、最初に来た時は夏の盛りで、埃っぽい暑い田舎路をボロボロの自動車で彼方此方引き廻されてひどく草臥れたことがあり、二度目に来た時も亦その同じ場所へ連れて行かれ、もう面白くも何ともなくて閉口したことがあった。