Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
四
に「宜しくお願い」することにして、成り行きに任せるより外はなかった。
「雪子ちゃん、暑かったらそれ着替えなさい。あたしもこれを脱がして貰お。―――」
幸子は離れ座敷へ戻ると、今日ではないと云うことを眼顔で知らして、自分も袋帯を解きにかかったが、ついガッカリしたような溜息が出るのを、暑さのせいであるように胡麻化さなければならなかった。未亡人の話の中の不愉快な部分は、雪子ちゃんにも、こいさんにも、云わずに置こう。自分もそれを考えると気が塞ぐから、今日一日は努めて忘れるようにしよう。明日は明日の風が吹く。今日は蛍狩に興じればよいのだ。………こう云う時にくよくよしないのが幸子の癖で、直ぐそんな風に気分転換を心がけるのであったが、それでも何も知らずにいる雪子を見ると、胸が痞えた。そして、それを紛らすために衣裳鞄からポーラルの単衣と単帯とを出して着替えたり、脱いだ衣裳を衣紋掛けに掛けたりしていると、
「その着物、蛍狩に着て行かへんのん」
と、悦子が不審そうに聞いたが、
「ちょっと汗ばんでるよってに、こないしとくねん」
と、云いながらそれを衣桁に吊るした。
四
眠れないのは場所が変ったせいでもあるが、それより疲れ過ぎているのであろう。