Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
。もし先方に結婚の意志がないものなら、今更あの手紙に依って飜意するとも思われないし、又その意志があったとしたら、あんな手紙を貰ったために却って厭気がささないとも限らない、矢張自然の成行きに任して置くのが一番賢明であったかも知れない。………
貞之助は、別にその手紙に返事を期待した訳ではなかったが、それでもその後二日たち三日たちして、先方から何の音沙汰もないと、じっとしていられないようになり、次の日曜日の朝、わざと幸子には目的を告げず、ちょっと散歩にと云って、家を出た。そして阪急で梅田に出、タキシーに乗ると「烏ヶ辻まで」と、ついそう命じてしまった。と云うのは、出がけに橋寺の家の番地を覚えて来たのではあるが、兎に角近所まで行って、どんな家に住んでいるのか、それとなく前を通って見よう、と云うぐらいな気持だったので、訪問しようとまで考えていたのではなかった。で、ここらあたりと思う辻で車を下りて一軒々々表札を読んで行くと、その日は今年になって初めての春らしい天気であったせいか、歩いていてもひとりでに足が弾み、何となしに幸先がよいような気がして来た。それに又、橋寺の家と云うのが、わりに新しい普請の、南を受けた明るい感じの家であった。