Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
に命じた。そして、では又明日伺います、そう御心配なさることもないでしょうと、事もなげに云うのであったが、幸子は矢張安心がなりかねて、玄関まで送って出ながら、先生、ほんとうに大丈夫でっしゃろかと、涙の溜った眼を向けると、大丈夫です大丈夫ですと、いかにも確信ありげなのであった。誰か、阪大の先生あたりに診て戴かないでも、………と、云うと、さあ、斎藤君はあんなことを云うけれども、あれは少し大事を取り過ぎますな、もしその必要があるようになれば云いますが、今のところ僕に任して置いてくれても大丈夫ですよ。………けど、素人眼でも、昨日まではあんなではあれしませなんだのに、今日は何や人相まで変ってしもうてて、………あの顔つきは死期が近づいた人みたいに見えるやありませんか、と云うと、それは思い過しですよ、衰弱すれば誰でも一時あんな風になりますよ、と、櫛田医師はてんでそんなことは問題にしないのであった。
幸子は、櫛田医師を送り出してから自分も一旦帰宅することにして、院長室の蒲原医師に挨拶を済ますと蘆屋の家へ戻って行ったが、夫も、悦子も、雪子も、お春もいない、変にひっそりした西洋間の椅子にひとり腰掛けてぼんやりしていると、又しても忌まわしい場合が考えられて来るのであった。