Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
そして、奥畑が何か話しかけたそうにするのを避けて次の間へ行き、お春が煮かけていた重湯の土鍋をおろして銀瓶を掛け、それが沸くのを待って茶を入れた。彼女はそのお茶をお春に持って行かせようとしたが、愛想のよいお春が掴まると面倒であることに気付いて、「お春どん、あとはあたしがやるよって、あんたもう帰り」と云い、自分で茶を持って出て、直ぐ又次の間へ引っ込んでしまった。
その日は花曇りのした生暖かい日のことで、座敷の障子が開け放してあったので、庭の方を向いて臥ていた病人は、面前に奥畑の姿が見え出してからそれが縁側に腰かける迄の動作を見ていた訳であるが、例の無表情な物静かな瞳を客の方へ注いでいるだけであった。奥畑は雪子に逃げられて、ちょっと照れ臭さそうにしたが、やがてシガレットケースを出して、煙草に火を付けた。そして、だんだん灰が溜って来たのを足もとに捨てようとして躊躇し、座敷の中をキョロキョロ見廻して、済みませんが、灰皿おまへんやろかと、誰に云うともなく云ったが、「水戸ちゃん」が気を利かして、有り合う紅茶々碗の皿を持って行った。
「こいさん、えらい良えのやそうやな」