Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
そして幸子が、
「何」
と聞いたので、
「いいえ、何でも………」
と、うろたえながらお秋が首を引っ込めようとすると、
「こいさんは今帰ったよって、御飯は御寮人さんとあたしだけやわ」
と、雪子が云った。
雪子は、
「あのくらいなこと、たまには云うといた方がええねん」
と、あとで幸子にそう云っただけで、もうその話は忘れたようにしていたので、とうとうその朝の出来事は、悦子にも貞之助にも感づかれないでしまった。ただその明くる日、終日妙子が姿を見せなかったので、今日はこいちゃん、どないしたんやろ、………風邪でもお引きになったんでしょうか、と、悦子とお春が不思議がった。こいさん今日は珍しく欠勤かいな、と、幸子もさあらぬ体で云い、ひょっとするとこれから当分来ないようになるのではないかと、密かに案じたが、その明くる日の朝になると、妙子は何事もなかったようにケロリとしてやって来た。そして少しもこだわらずに雪子とも口を利き、雪子も機嫌よくそれに応じた。奥畑のことについては、満洲行きは止めにしたらしいわ、と、妙子が云い、そうか、と雪子が答えただけで、それ以後そのことは孰方からも云い出さなかった。