Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
………みんなが手に手に幾匹かの蛍をそれぞれの容器に入れて持ち、幸子と雪子とは袂の先に入れて握りながら。………
宵のそれらの出来事が、あとさきの順序もなく幸子の頭の中で蛍火のように入り乱れたが、自分は夢を見ていたのか知らん、そう思って眼を開くと、小さい電燈の燈っている頭の上の欄間に、昼間見覚えのある額が懸っていた。それは「爛柯亭」と記した奎堂伯の書で、「御賜鳩杖」の関防が捺してあるのだが、「奎堂」が誰であるかも知らない幸子は、ただ「爛柯亭」の三字を読んだだけであった。と、暗い次の間の方で、何か光ったものが横に流れたけはいがしたので、首を擡げて見ると、何処からか迷い込んだ蛍が一匹、蚊遣線香の煙に追われて逃げ場を求めているのであった。さっき、獲って来た蛍の大部分を前栽に放してやった時、家の中へも夥しく舞い込んで来たのを、寝る前、雨戸を締める時にすっかり庭へ掃き出したのであったが、何処かに残っていたのであろうか。蛍はふわりと五六尺の高さに舞い上ったが、もう舞う力がない程弱っており、部屋を斜めに横切って、片隅の衣桁に、まだあのまま吊るしてあった彼女の衣裳の上に留まった。