Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
妙子は、板倉が生前愛用していたライカ・キャメラを、―――いつぞや大阪三越の八階で奥畑が床へ叩き着けた、あの曰く附きの写真機で、故人はあれを修理させて再び使っていたのである。―――故人の三十五日の後に岡山在の実家から形見分けにと云って送って来たのを、その当座持って歩いていたようであったが、近頃はそれに代る新しいクロームライカを持っていた。幸子は最初それらの事実を、恋人に死なれたことから急に妙子の人生観が一変し、金溜め主義を放擲してぱっぱっと使う気になったのであろうと、簡単に解釈していたのであったが、実際はそれだけのことではないらしくもあった。そう云えば、人形の製作なども久しく捨てて顧みないようになっていたのであるが、いつの間にか夙川の仕事部屋と共に弟子に譲ってしまったと云っているし、洋裁学院の方も怠ける日が多いらしかった。で、さしあたり幸子は、この出来事を自分だけの胸に収めて遠くから眺めることにしたものの、そう云う風に妙子がおおびらで奥畑と交際し始め、二人で大胆に出歩いているとすれば、いつ貞之助の眼に触れない限りもない、と云うことも考えられ、奥畑をひどく嫌っている夫が、このことを知ったら必ず意見があるであろう、とも考えられたので、或る日夫に打ち明けてしまったのであった。