Japanische Klassiker mit Furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme
その田島がてッきり来ているに相違ないと思ったから、僕はこッそり二階のはしご段をあがって行った。八畳の座敷が二つある、そのとッつきの方へはいり、立てかけてあった障子のかげに隠れて耳をそば立てた。
「おッ母さんは、ほんとに、どうする気だよ?」
「どうするか分りゃアしない」
「田村先生とは実際関係がないか?」
「また、しつッこい!――あったら、どうするよ?」
「それじゃア、青木が可哀そうじゃアないか?」
「可哀そうでも、可哀そうでなくッても、さ、あなたのお腹はいためませんよ」
「ほんとに役者になるのか?」
「なるとも、さ」
「なったッて、お前、じきに役に立たないッて、棄てられるに定まってるよ。その時アまたお前の厭な芸者にでもなるよりほかアなかろうぜ」
「そりゃア、あたいも考えてまさア、ね」
「そのくらいなら、初めから思いきって、おれの言う通りになってくれよ」
田島の声は、見ず転芸者を馬鹿にしているような句調ながら、まんざら全く浮薄の調子ではなかった。また、出来ることなら吉弥を引きとめて、自分の物にしたいという相談を持ちかけていたらしい。ことに最後の文句などには、深い呼吸が伴っているように聴えた。