Japanische Klassiker mit Furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme
会わないなら、会わない方が僕に取ってもいいのだが、まさか、向うはそうまで思いきりのいい女でもなかろう。あの馬鹿女郎め、今ごろはどこに何をしているか、一つ探偵をしてやろうと、うちわを持ったまま、散歩がてら、僕はそとへ出た。
井筒屋の店さきには、吉弥が見えなかった。
寝ころんでいたせいもあろう、あたまは重く、目は充血して腫れぼッたい。それに、近ごろは運動もしないで、家にばかり閉じ籠り、――机に向って考え込んでいたり――それでなければ、酒を飲んでいたり――ばかりするのであるから、足がひょろひょろしている。涼しく吹いて来る風に、僕はからだが浮きそうであった。
でこぼこした道を踏みしめ、踏みしめ、僕は歩いていたが、街道を通る人かげがすべて僕の敵であるかのように思われた。月光に投げ出した僕の影法師も、僕には何だかおそろしかった。
なるべく通行者に近よらないようにして、僕はまず例のうなぎ屋の前を通った。三味の音や歌声は聴えるが、吉弥のではない。いないのか知らんと、ほかに当てのある近所の料理屋の前を二、三軒通って見た。そこいらにもいそうもないような気がした。
青木の本陣とも言うべきは、二、三町さきの里見亭だ。