Japanische Klassiker mit Furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme
――彼は自分の困苦艱難といっしょに世の中をもつぶさに見た、単に封建制といっても江戸幕府が安定し参勤交代が行なわれるようになってからは中央集権的封建制ともいうべく、政治にも道徳にもいちおう普遍妥当性が表われてきたが、それ以前は純然たる専制封建で、さかんに権力威勢の高価な押売りが行なわれていた。いたるところに藩主の交替があり、それに伴う城館の築造、武家屋敷の新設拡張、町屋の移動など、金と物資と労力を要することはすべて庶民の負担にされた、重税は酷税となり悪税となる、他藩との物資の交易が禁じられているので、産工業の萎縮から物価は高騰と低落の板ばさみ、官は貢ぎを課し吏は賄賂を強要する、そこへもってきて大阪陣で死に損ねたり主人をうしなったり食禄を離れたりした浪人の群れが、やけのやん八と改名して夜盗脅喝人斬り追剥ぎと勇ましくのし廻っていた。之を要するに弱い者は泣き寝入りという、気前よく割り切れた時代だったのである。――八百助はその片眼でこれを見、背中の瘤でこれに触れ、跛の足でこれを踏み廻った。感受性も強く正義感の最もさかんな年齢で、自分の災厄と同時にこういう世相を経験した彼が、いかなる人生観を持ったかは説明に及ぶまい。