Japanische Klassiker mit Furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme
六
「騙りめ、詐欺師め、大ぼら吹きの盗っ人め」
こう権右衛門どのが怒号した、声量の大きさで否定の相場を吊り上げる魂胆だろう、
「風来坊の乞食の無頼漢のろくでなしの極道の傴僂野郎め、巾着切りの矢尻切りの嘘つきの恥知らずの磔つけ野郎め、おまけに」「お父さま、――」
鈴のような声で家娘がしずかにこうさえぎった、まことに玲瓏玉のごとく、清高にして幽艶なる声だ、父親はぴったりと黙ったし、客たちは粛然と膝を正し敬恭のあまり畳へ手を突いた者さえある、
「そのようにはしたない言をおっしゃいますな、八百助とやらへはわらわから申し聞かせましょう」
彼女はおごそかにこう云って八百助を見た。
「これそこの男、許します、わらわの顔をお見やれ」
六
「わが家は七カ村の庄屋を勤め」と彼女は続けた、
「――山林田地も家屋敷土蔵も現銀資産も掃いて捨てるほどある、なんのためにおまえのような卑しい片輪者と婚約する必要があろう、どんな必要があって五千両ばかりの端下金を取ることがあろう、――村の方たちにも伺いましょう、名誉ある武藤の家柄としてかりにもそんな事があると思いますか」
「――そんな馬鹿な」客たちは一斉に天床や畳へ眼をそらしながら断乎として否定した、