Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなさかぬリラ

花咲かぬリラ

山本 周五郎

Lesen Sie 花咲かぬリラ (はなさかぬリラ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.378 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

ですか」

「いいえここにはおいでなさいません」

「どこへいらしったんです、おかたづきになったんですか、それとも……」

「さようなことは私からはお返事がなりかねます」

「僕はききたいんだ、きかなくてはならない理由があるんだから、教えてくれたまえ、富美子さんはどこにいるんです」

「お返事はできません、お引き取りください」

「じゃあしようがない」来太はかがんで靴の紐を解いた、「……失敬して直に御主人に会うよ」

靴を脱ぐとそのまま玄関へ上がった。老人はあっけにとられ、いったいなにをするのかと云いたげに見ていたが、来太がそのまま奥へゆこうとするのでびっくりして押し止めようとした。しかし彼は大股にそこの廊下をつき当たり、広縁へ出ると右へ、いくつかの部屋の前を通ってゆくと、十畳ほどのひと間にこの家の主人と思える初老の人物のいるのをみつけた。黒っぽい紬の着物に同じ柄の袴をはき、「端然」という感じで坐っている、眉の屹と張った、短く刈り込んだ口髭の半ば白い、かなり癇の強そうな顔つきである。来太は廊下に立ったままちょっと会釈をした。

「僕はいま取次ぎの人に申し上げた麻川来太という者です、御多忙で会えぬということでしたが僕も多忙なので、はなはだ失敬ですがお邪魔をします」