Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はなさかぬリラ
花咲かぬリラ
山本 周五郎
Lesen Sie 花咲かぬリラ (はなさかぬリラ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.378 Zeichen · 36 Bildschirme
三
「なにしてらっしゃるの来さん、せっかくのおビールの気がぬけてしまってよ」
縁側から由利の呼びごえが聞こえた。
「僕のリラはどうしたかと思ってね」来太は庭を戻りながらそういった。
「あああれは杉浦さんが抜いておしまいになったわ」由利はむぞうさに答えた。
「……だってあのリラったら花が咲かないんですもの、あの春に咲くからって植えていらしったでしょう、それがいくら待っても丈が伸びるばかりで花はちっとも咲かないの、それで『花咲かぬリラ』って綽名がついたくらいよ、とうとう杉浦さんが抜いておしまいになったわ」
「来さん、ちょっと当ててみてください」
夫人が二組ほどの背広を縁側へひろげながら呼んだ。
「……みんな着切ってしまって良いのはないんですよ、これどうかしら……」
三
午後三時過ぎに上野を出た青森行の列車は非常に混んでいた。近ごろは乗客の数もずっと緩和されて、列車地獄などという形容も聞かれなくなっていたが、その日の混み方は特別で、客は昇降口にまではみだしていた。……ぎしぎしに詰まったその車室の中を、来太は最後部から前へと突進していた。本当にそれは突進という感じであった、「押すな」