Japanische Klassiker mit Furigana
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme
慶三は我ながらどうしてこう急にお千代が可愛くなったのかと、今更不思議に思うばかりである。以前芸者で呼んでいる時分にはそれ程執心という訳では決してなかった。同じ土地の芸者で手を出して見たいと思う女は幾人もあった。千代香が余所の座敷へ出ていて来られない折なぞを幸いに、慶三は既に度々箒をやって見た事もあった。しかしそういう時に限って、面白そうだと思って呼んで見た芸者に気に入ったものは少く、殊には四畳半へ廻って燈を消してからなおなお後悔するような事がある処から、矢張呼び馴れた奴が一番無事だと結局千代香が一番長続きしたというに過ぎない。
お千代は円顔の鼻低く目尻が下っているのみならず猪首でお尻が大きく、女同志の目からは遥に十人並以下どころの事ではない、寧ろ醜婦の中に数えられる位の容貌であった。しかし男の好心から見る目はまた別である。その締のない口元と目尻の下った目付とは、この女の心の片意地でない証拠と見え、また幅狭い帯の下から隆起した大きなお尻の円味と、下締がよく締まらないのかと思われるような下腹のふくらみ塩梅は、浴衣なぞ着た折は殊に誘惑的に見られるのであった。