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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

全く石川島の工場を後にして幾艘となく帆柱を連ねて碇泊するさまざまな日本風の荷船や西洋形の帆前船を見ればおのずと特種の詩情が催される。私は永代橋を渡る時活動するこの河口の光景に接するやドオデエがセエン河を往復する荷船の生活を描いた可憐なる彼の『ラ・ニベルネエズ』の一小篇を思出すのである。今日の永代橋には最早や辰巳の昔を回想せしむべき何物もない。さるが故に、私は永代橋の鉄橋をばかえってかの吾妻橋や両国橋の如くに醜くいとは思わない。新しい鉄の橋はよく新しい河口の風景に一致している。

私が十五、六歳の頃であった。永代橋の河下には旧幕府の軍艦が一艘商船学校の練習船として立腐れのままに繋がれていた時分、同級の中学生といつものように浅草橋の船宿から小舟を借りてこの辺を漕ぎ廻り、河中に碇泊している帆前船を見物して、こわい顔した船長から椰子の実を沢山貰って帰って来た事がある。その折私たちは船長がこの小さな帆前船を操って遠く南洋まで航海するのだという話を聞き、全くロビンソンの冒険談を読むような感に打たれ、将来自分たちもどうにかしてあのような勇猛なる航海者になりたいと思った事があった。