Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

第三 樹

聖天様には油揚のお饅頭をあげ、大黒様には二股大根、お稲荷様には油揚を献げるのは誰も皆知っている処である。芝日蔭町に鯖をあげるお稲荷様があるかと思えば駒込には炮烙をあげる炮烙地蔵というのがある。頭痛を祈ってそれが癒れば御礼として炮烙をお地蔵様の頭の上に載せるのである。御厩河岸の榧寺には虫歯に効験のある飴嘗地蔵があり、金竜山の境内には塩をあげる塩地蔵というのがある。小石川富坂の源覚寺にあるお閻魔様には蒟蒻をあげ、大久保百人町の鬼王様には湿瘡のお礼に豆腐をあげる、向島の弘福寺にある「石の媼様」には子供の百日咳を祈って煎豆を供えるとか聞いている。

無邪気でそしてまたいかにも下賤ばったこれら愚民の習慣は、馬鹿囃子にひょっとこの踊または判じ物見たような奉納の絵馬の拙い絵を見るのと同じようにいつも限りなく私の心を慰める。単に可笑しいというばかりではない。理窟にも議論にもならぬ馬鹿馬鹿しい処に、よく考えて見ると一種物哀れなような妙な心持のする処があるからである。

第三 樹

目に青葉山時鳥初鰹。江戸なる過去の都会の最も美しい時節における情趣は簡単なるこの十七字にいい尽されている。