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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

第二 淫祠

私の感覚と趣味とまた思想とは、私の境遇に一大打撃を与える何物かの来らざる限り、次第に私をして固陋偏狭ならしめ、遂には全く世の中から除外されたものにしてしまうであろう。私は折々反省しようと力めても見る。同時に心柄なる身の末は一体どんなになってしまうものかと、いっそ放擲して自分の身をば他人のようにその果敢ない行末に対して皮肉な一種の好奇心を感じる事すらある。自分で己れの身を抓ってこの位力を入れればなるほどこの位痛いものだと独りでいじめて独りで涙ぐんでいるようなものである。或時は表面に恬淡洒脱を粧っているが心の底には絶えず果敢いあきらめを宿している。これがために「涙でよごす白粉のその顔かくす無理な酒」というような珍しくもない唄が、聞く度ごとに私の心には一種特別な刺※を与える。私は後から勢よく襲い過ぎる自動車の響に狼狽して、表通から日の当らない裏道へと逃げ込み、そして人に後れてよろよろ歩み行く処に、わが一家の興味と共に苦しみ、また得意と共に悲哀を見るのである。

第二 淫祠

裏町を行こう、横道を歩もう。かくの如く私が好んで日和下駄をカラカラ鳴して行く裏通にはきまって淫祠がある。