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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

わたくしは我ながら意外なる追憶の情に打たれざるを得ない。両側の窓から呼ぶ声は一歩一歩急しくなって、「旦那、ここまで入らっしゃい。」というもあり、「おぶだけ上ってよ。」というのもある。中には唯笑顔を見せただけで、呼止めたって上る気のないものは上りゃしないといわぬばかり、おち付いて黙っているのもある。

女の風俗はカフェーの女給に似た和装と、酒場で見るような洋装とが多く、中には山の手の芸者そっくりの島田も交っている。服装のみならず、その容貌もまた東京の町のいずこにも見られるようなもので、即ち、看護婦、派出婦、下婢、女給、女車掌、女店員など、地方からこの首都に集って来る若い女の顔である。現代民衆的婦人の顔とでも言うべきものであろう。この顔にはいろいろの種類があるが、その表情の朴訥穏和なことは、殆ど皆一様で、何処となくその運命と境遇とに甘んじているようにも見られるところから、一見人をして恐怖を感ぜしめるほど陰険な顔もなければまた神経過敏な顔もない。百貨店で呉服物見切の安売りをする時、品物に注がれるような鋭い目付はここには見られない。また女学校の入学試験に合格しなかった時、娘の顔に現われるような表情もない。