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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

」と節をつけて歌いながら、カラクリの絵板につけた綱を引張っていたが、辻講釈の方は歯こそ抜けておれ眼付のこわい人の悪るそうな爺であった。よほど遠くから出て来るものと見え、いつでも鞋に脚半掛け尻端折という出立で、帰りの夜道の用心と思われる弓張提灯を腰低く前で結んだ真田の三尺帯の尻ッぺたに差していた。縁日の人出が三人四人と次第にその周囲に集ると、爺さんは煙管を啣えて路傍に蹲踞んでいた腰を起し、カンテラに火をつけ、集る人々の顔をずいと見廻しながら、扇子をパチリパチリと音させて、二、三度つづけ様に鼻から吸い込む啖唾を音高く地面へ吐く。すると始めは極く低い皺嗄れた声が次第次第に専門的な雄弁に代って行く。

「……あれえッという女の悲鳴。こなたは三本木の松五郎、賭場の帰りの一杯機嫌、真暗な松並木をぶらぶらとやって参ります……」

話が興味の中心に近いて来ると、いつでも爺さんは突然調子を変え、思いもかけない無用なチャリを入れてそれをば聞手の群集から金を集める前提にするのであるが、物馴れた敏捷な聞手は早くも気勢を洞察して、半開きにした爺さんの扇子がその鼻先へと差出されぬ中にばらばら逃げてしまう。