Japanische Klassiker mit Furigana
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme
ダリヤは天竺牡丹といわれ稀に見るものとして珍重された。それはコスモスの流行よりも年代はずっと早かったであろう。チュリップ、ヒヤシンス、ベコニヤなどもダリヤと同じく珍奇なる異草として尊まれていたが、いつか普及せられてコスモスの流行るころには、西河岸の地蔵尊、虎ノ門の金毘羅などの縁日にも、アセチリンの悪臭鼻を突く燈火の下に陳列されるようになっていた。
わたくしは西洋種の草花の流行に関して、それは自然主義文学の勃興、ついで婦人雑誌の流行、女優の輩出などと、ほぼ年代を同じくしていたように考えている。入谷の朝顔と団子坂の菊人形の衰微は硯友社文学とこれまたその運命を同じくしている。向島の百花園に紫や女郎花に交って西洋種の草花の植えられたのを、そのころに見て嘆く人のはなしを聞いたことがあった。
銀座通の繁華が京橋際から年と共に新橋辺に移り、遂に市中第一の賑いを誇るようになったのも明治の末、大正の初からである。ブラヂルコーヒーが普及せられて、一般の人の口に味われるようになったのも、丁度その時分からで、南鍋町と浅草公園とにパウリスタという珈琲店が開かれた。それは明治天皇崩御の年の秋であった。