Japanische Klassiker mit Furigana
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きくやしき
菊屋敷
山本 周五郎
Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme
六
「そうですとも、姉妹の仲ですもの、遠慮なしに聞かせて下さらなければ……」
「ええすっかり申上げますわ、そうでなければお願いの筋だってとおりませんもの」小松は勢を得たように坐り直した。
六
園部晋吾は藩の学堂助教として、二十石三人扶持を給されていた。気は弱いが自分の才能には確信をもっていたかれは、そんな僅かな扶持で、いつまでも田舎の学堂などに埋れているつもりはなく、やがては第一流の学者として名を挙げる野心をもっていた。それで江戸藩邸にいる知友をとおして絶えず書物を買い求めたり、また筆写を依頼したりする費用が意外に嵩み、どんなに倹約しても家計は苦しくなるばかりだった。――これではどうにもしようがない、晋吾よりさきに小松がそう思った、――なんとかこの状態を打開しなければ、なにか方法はないだろうか。そう思案していたとき、たまたま学堂の用で江戸へ出た晋吾は、そこで蘭学というものが学界で珍重されはじめているのをみた。勿論まだ専門家はいないし、研究する者も極めて少数だが、多少とも新しい方向を見る者は、ごく近い将来に大きな勢力をもつだろうということを認めていた。表向きには幕府の禁圧があるけれども、それが却って珍重されるちからともなり、大藩諸侯のなかにはひそかに手をまわして、蘭学をまなぶ者のために補助を与えようとするものが少なく