Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きくやしき

菊屋敷

山本 周五郎

Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「こんな風に裏を覗く気持はもうやめなければならない」志保はそっと頭を振りながら呟やいた、「……これからはなにもかもあるがままに、すべてをすなおに受け容れて生きるのだ、それが志保の新しい生活だ」

食事が済むと、お萱に髪をあげて貰い、着物を着替えた。お萱は訝かしがりもせず、志保がそんな気持になったことをよろこんで、いそいそと着附けを手伝った。

「ごらんあそばせ、ちょっとお着替えあそばすだけでこのようにお美しくおなりなさるではございませんか、少しは髪化粧をあそばすのも婦人のたしなみでございますよ」

五

「……飾り甲斐があればねえ、お萱」

「それがお嬢さまのたった一つの悪いお癖です」お萱は心外そうに云った、「……あなたはご自分でお美しくないときめていらっしゃる、それはご謙遜というよりも片意地と申すものでございます、小松さまはお美しいお生れつきです、誰だってそう思わない者はございません。それに比べますとお嬢さまのお美しさは、本当に美しさを見る眼のある者にしかわからないお美しさです。お信じになれなかったらこれからよく鏡をごらんあそばせ、お嬢さまは鏡さえお手になさらないのですもの」