Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きくやしき

菊屋敷

山本 周五郎

Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

志保のすること、志保の考えること、それがみんな子供の上に現われる。まるで鏡のように、母親の挙措言動がそのまま子供の上に反映するのである、――子供を育てるということは自分が修業することだ、志保が心からそう悟ったのは明くる年の秋の頃だった。子供は教えられることよりも、教えまいとすることのほうをすばやく覚える。こちらが膝を正して訓すことは聞きたがらない。しかしたとえば寝そべって話す気楽な話はよく聞く。あらわれたところよりも隠れてみえないところに興味をもつ。だから事のよしあしは、訓えるよりもまず自分で示すほうがすなおに受け容れられるのだ。

「養育するのではない」志保はつくづくとそう思った、「……自分が子供から養育されるのだ、これが子供を育てる根本だ」

母子の愛情というものもしぜんに結ばれてゆき、性質も少しずつ志保の望むほうへと根をひろげた。質素に、勤倹に、剛毅に、云ってしまえば簡単であるが、じっさいにはなかなか困難なことを、自分から身を以て示しつつ導いていった。……厳寒の未明に起こし、裏の小川へいって、薄氷を破って半へ水を汲み洗面させる。いかに寒くとも肌着に布子、半袴よりほかには重ねさせない。