Japanische Klassiker mit Furigana
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きくやしき
菊屋敷
山本 周五郎
Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme
お萱と二人して、早熟のみごとな甘柿と茶を運んだ志保は、やがてむりやりに青年たちの上座へ坐らせられた。父の門人となって日の浅い者でも五年、杉田庄三郎などはもう十年を越すくらいであるが、一民が亡くなってからは志保をかたみのように思い、みんな必要よりも鄭重な礼をもって対した。しかしそのように席の上座へ据えるなどということは、そのときが初めてのことだった。
「どうしてこのような無理をなさいますの、父が存命でしたらなんと申すでしょう、わたくしいやでございますよ」
「いやこれがお願いの第一なんです」青江市之丞という青年が云った、「……われわれはこれからあなたに師事するのですから」
「まあなにを仰しゃいます」
「青江の申すことは事実です」杉田庄三郎が口をんだ、「……お嬢さまは先生から靖献遺言の御講義をお聴きになったと思いますが」
「さあ、そのようなことがございましたかしら」
「お隠しなさることはありません、先生がご自分の勉強のためにお嬢さまへ講義をしていらっしゃる、そう伺がったことを覚えています、その講義を、こんどはあなたからわれわれがお聴き申したいのです」
「なんのことかと存じましたら」