Japanische Klassiker mit Furigana
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きくやしき
菊屋敷
山本 周五郎
Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme
たように惘然と立ちつくした。
菊はどの株も濃い緑色の厚手の葉をいきおいよくみっしりと重ね、それを押し分けるようにしていっせいに花枝を伸ばしている、今年は季候がおくれたのか、いつもなら見頃なのにまだようやく咲きはじめたばかりで、けれど清高な香気はそれだけ鮮やかに、重たさを感ずるほど密に匂っている、――志保はその香に酔ったような気持で、そのままなおじっと佇んでいたが、やがてふと放心したように「は松の実だけ喰べる……」と呟やいた、そしてそのこえで我に返った。
「……※(「易+鳥」、第4水準2-94-27)は松の実を喰べる、なぜこんなことを云いだしたのだろう」そう云ってみてはじめて、いつぞや塾で青年たちに※(「易+鳥」、第4水準2-94-27)の馳走をしたときのことを、回想していたことに気づいた、「そうだ、あのとき話そうとして忘れていたことを思いだしたのだ、杉田さまが晋太郎を呼べと仰しゃったので、云おうと思ったことを云いだす折がなかった。……※(「易+鳥」、第4水準2-94-27)は、あのくいちがった嘴を松かさの弁の間へ※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)しこんで巧みに実を啄ばむ、あの肉があんなに美味なのは好んで松の実を喰べるためだ、……そう聞いたことを話そうと思ったのに、とうとう