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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんじん

蛮人

山本 周五郎

Lesen Sie 蛮人 (ばんじん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.726 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

「おめえ何のためにそんなことを訊くんだ」

そう云って彼が鋭く見上げると、女は裸の腹を波打たせながら喉で笑った。――彼はその顔をしばらく覓めていたが、やがてものに襲われでもしたように身顫いしながら外向いた。

日が暮かかってきた、荒地には鼠色の夕靄が這い、沼地にはけたたましく河鵜の飛立つのが見える。

「今夜は堀のお縁日だ」

女がしばらくして云った、「みんなは行かないって云うから、あたしゃ一人で行くんだ……でも帰り道が暗くて怖いからね」

「茂さんは……茂さんは行かねえのかい」

彼がおそるおそる訊いた。

「どうだか、あの人は意久地がなくって、飯がすめば死人のように寝てしまう、まるで年寄みたいだから――」

「――なあ」

彼はふっと声をひそめた、しかし喉をごくりとさせただけであとを云わなかった。女は苛だたしげに太息をついたり頭を掻いたりしていたが、やがてだるそうな足取で風呂場のあるほうへ立去った。

「どこからどこまでが浮気でどこからどこまでが本気か、おまえとわたしがよく知っている――」

女は鼻にかかる声で唄いながら行った。

その明る日の午後のことである。もうもうとゆれかえる噴煙の中で不意に鋭く女の喚き声が聞えた。