Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おやばかにゅうどうき

親馬鹿入堂記

尾崎 士郎

Lesen Sie 親馬鹿入堂記 (おやばかにゅうどうき) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.182 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

産婦は仰向きに寝たまま、爽やかな顔をして眼を大きくひらいている。さっきまで立てつづけに陣痛が起って、F博士もやってきてくれたが、たぶん明日あたりだろうというので帰っていったばかりだというのである。

「だけどね、私、妙な夢を見ちゃったの」

と女房がいった。

「夢なんか気にしない方がいいよ」

「いや、それがね、おかしいじゃないの、うちのルビ(猫の名)がわたしの蒲団の上に乗っかっているの、しかし、よく見ると、やっぱりルビじゃないのよ、その猫が、みるみるうちに金色に光りだしてきたの、へんだなと思っているうちにその猫が、そのまま私の身体の中へはいってしまったのよ」

「そうかい、おもしろい夢だな」

「ところが、まだ、そのつづきがあるの、ハッと思って眼がさめると家政婦さんが枕元に坐っていて、おくさん、あなたの頭が半分になりましたというんじゃないの、私、どきっとして慌てて頭へ手をあててみると頭はちゃんとあるのよ、ああよかったと思ったとたんに、こんどはほんとうに眼がさめたの」

その話を私は上の空で聴きながらも、しかし、妻の顔に、いささかの曇りもなく、眼の底に何か明るい影のゆらぐのを見た。