Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おやばかにゅうどうき

親馬鹿入堂記

尾崎 士郎

Lesen Sie 親馬鹿入堂記 (おやばかにゅうどうき) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.182 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「瓢」と「俵」

人間の判断では及びもつかないような意志が、この奇蹟をつくりあげたのである。私はそう信じないではいられなかった。今や私の恐れることは、この奇蹟的な運命の中から忽然としてあらわれた赤ん坊が、そのまま忽然として消え去ってしまうということだけである。私にとっていちばん自信のないことは、この赤ん坊が自分の生命と、もっともふかい関係を保っていなければならない筈であるのに、それをしっかりと把握することのできないことだけである。

「瓢」と「俵」

数日間が夢のように過ぎてしまった。私は先ずこの赤ん坊に名前をつけねばならぬ。困ったことには、もう二三ヵ月前から女の子の名前だけは幾つも用意して、字劃をしらべたり、姓名判断をしたりしていたが、男の赤ん坊の名前だけは何の持ち合せもなかった。

いろいろ考えぬいた揚句、私は「瓢士」という文字を思いついた。

瓢は『人生劇場』の主人公である青成瓢吉の「瓢」である。それに私の名前の「士」を加えて、「ひょうじ」と読ませるのだ。

しかし、いよいよ、そうひとりぎめをして役場にある当用漢字表を調べてみると、瓢の字は漢字制限で削除されていた。これが用いられないとなると、せめて読み方だけでも残しておこうという気になり、「ひょう」