Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Lesen Sie 註文帳 (ちゅうもんちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.770 Zeichen · 67 Bildschirme
空を行く外道変化の囁かと物凄い。
十二時疾くに過ぎて、一時前後、雪も風も最も烈しい頃であった。
吹雪の下に沈める声して、お若が寮なる紅梅の門を静に音信れた者がある。
トン、トン、トン、トン。
「はい、今開けます、唯今、々々、」と内では、うつらうつらとでもしていたらしい、眠け交りのやや周章てた声して、上框から手を伸した様子で、掛金をがッちり。
その時戸外に立ったのが、
「お待ちなさい、貴方はお宅の方なんですか。」と、ものありげに言ったのであるが、何の気もつかない風で、
「はい、あの、杉でございます。」と、あたかもその眠っていたのを、詫びるがごとき口吻である。
その間になお声をかけて、
「宜いんですか、開けても、夜がふけております。」
「へい、……、」ちと変った言ぐさをこの時はじめて気にしたらしく、杉というのは、そのままじっとして手を控えた。
小留のない雪は、軒の下ともいわず浴びせかけて降しきれば、男の姿はありとも見えずに、風はますます吹きすさぶ。
十五
「杉、爺やかい。」とこの時に奥の方から、風こそ荒べ、雪の夜は天地を沈めて静に更け行く、畳にはらはらと媚めく跫音。