Japanische Klassiker mit Furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
子供に本を読んでやるなどということは、女中のすることですからね。」と、一気に云うと、綾子夫人はいかに積もる忿懣の情に堪えないと云うように、椅子の背に身体をもたせて、絹よりもなめらかな麻のハンカチーフを両手の中でもみしだいた。
新子は、女性としての悪徳である、嫉妬心、高慢、わがまま、邪推というようないやな物ばかりを、つつしみもなく、さらけ出す夫人に対して、思わず冷笑が浮び上るのを、ジッと噛みしめながら、椅子から腰を浮かせると、一歩退いて、ハッキリと、
「私の致しました一々のことが、そんなにも奥さまのお気に召さないとすると、致し方ございませんから、おひまを頂きたいと思いますけれど……」と、云った。
新子が、充分謝りもしないで、すぐ反抗的に出た態度が、グッと夫人の神経を、いらだたせたらしく……。
「私は、貴女にそんなことを云わせようとして、お呼びしたわけじゃないんですわ。ただ、お年若な貴女に、ご注意をしたかったまでなんですの……」と、わざと少し声をやわらげて云った。夫人の趣意は、新子を思うさま、やっつけることであり、新子が、今までの家庭教師に比して、ずっと秀れていることを、心の内では認めているだけに、これを機会に追い出そうという肚ではなかった。