Japanische Klassiker mit Furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
八
」といった。
八
常に、つねにそうであるように、夫人とは是非を論ずることは、出来なかった。論ずれば、そこに大破裂があるだけだった。
準之助は、今も夫人の巧妙な、意地のわるい仕打ちの前に、うんともすーともいえず、ズシーンと重く暗く、心が沈んでしまい、ただ一刻も早く夫人が外出してくれればと祈るばかりであった。
だから、彼は夫人が、誘いに来た添田夫人と一しょに出かけるが早いか、すぐ新子の部屋に駈けつけてみた。
机と座蒲団のほか、その人のらしい荷物は影もなく、室内塵一つ止めない寂しさ、整然さ――準之助氏は、急転直下の勢いで、自分の心が、地の底へめり込んで行くのを感じた。
「おい! おい! ちょっと。」彼は、階段の所へ出て来ると、そこから近い台所の召使を呼んだ。
太った身体をよちよちさせて、駈け上って来た旧い顔の女中に、もどかしげに、
「南條先生は、何時に発った!」とかぶりつくよう。
「先生は、七時半の汽車でお帰りになりましたんですが。ああ、まだ申し上げも致しませんでしたが、先生からお心づけを頂戴致しましたんで……」
「杉山いるかい。」
「ただ今奥さまのお伴で……」
「こまったな。