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Japanische Klassiker mit Furigana

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ていそうもんどう

貞操問答

菊池 寛

Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「そう、ありがとう。」と前川氏は、子供をいたわったが、すぐ新子に、

「しばらく、どうぞ。」と、挨拶した。

子供に関する話題を中心に、三人の間にしばらく話が交わされ、二十分ばかり時間が経ったが、夫人は容易に現れては来なかった。

(何につけても、こんなに勿体ぶるのであろうか。家庭教師の候補者などには、そうやすやすとは会わないという肚だろうか)そんな邪推が、新子の心に、ようやく萌し始めた。

四

夫人の姿は、現れずして三十分近く経った。

準之助氏はたまりかねたと見え、

「今度は、お前が行って、ママを呼んでおいで!」と、小太郎を迎いにやった。

いつかまばゆいシャンデリヤに、灯が入って、雨の日の昼の光では、やや重苦しく冴えなかった部屋が、急に花やかに照り返った。

やっと、廊下にほのかな衣ずれの音がしたかと思うと、半ば開かれた扉から、夫人が長身の姿をあらわした。

それを見ると、新子はいちはやく椅子をはなれて立ち上った。

その新子に、夫人はほほえみもせず、頭の高い挨拶をして、良人と並んだ椅子にだまったままで腰をおろした。

主人からは、対等に扱われていたのが、たちまちドスンとばかり、雇人志願者の位置に突き落されているのであった。