Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ていそうもんどう

貞操問答

菊池 寛

Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme

Aozora Bunko

四

四

新子の姉を待っているうちに、前川夫人は何か思いついたように、呼鈴を押して女中を呼んだ。

「いまの電話の人、ちょいちょい来たことあるの?」と、やや優しく訊ねた。

「いつか一度、いらしったことがあるそうですが、私はお取次ぎいたしませんでした。九月中に、一、二度お電話がかかりましたことは、存じております。」女中は、まだ恟々としていた。

「そうお。」と、顎であちらへと示しただけでもう顧みず、また鏡に向ったまま、考え始めた。

女道楽の主人が、嫉妬ぶかい夫人を、操る手管を考えるように、夫人は、良人と新子と新子の姉との三人をどんなに扱うべきかを心ひそかに考えているのであった。

これは、前にもいったように、夫婦らしい愛情からの嫉妬というよりも、冷えた夫婦愛が内攻して起る病的なものであるだけに、性質が悪性で、相手を苛めぬいて、出来るだけ、嫌がらせて満足を得ようというのである。

良人が、自分をほんとうは、少しも愛していず、ただ上部の調子だけを合わしていることも、とっくに承知していた。だがそのために、今まで放蕩したこともなく、長い物には巻かれろ主義で、ひたすら家庭平和を保持している良人が、物足りない以上に、憎らしくさえ思っている。