Japanische Klassiker mit Furigana
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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
Lesen Sie 貢太郎見聞録 (へんさいじょき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.162 Zeichen · 59 Bildschirme
私はそのまま走って外へ出た。かなり強い地震がまたやって来て地の上がゆらゆらとした。私は墓地の生垣に体をぴったりと押しつけるようにして、シナ人の下宿を気にしている家内の傍へ往った。その生垣の根方には黒い煉瓦を築いてあったが、それが皆崩れて垣の根があらわれていた。
「ここなら大丈夫だ」
「でも、こわいわ、こわいわ、どうしましょう」
シナ人の下宿の並びの米屋と差配などの住んでいた一棟は潰れていた。私たちの頭の上には電燈の太い蛇のような線が通っていて、門口の右手よりにその柱があった。私は下宿の方よりもその方が怖かった。シナ人の下宿の軒先にも電信線があった。その下宿の簷はぐらぐらとしてその柱に当りそうに動いていた。
「さっきのお客さんですよ」
家内の声がするのでふと見ると、家内の右側に和智君が黒い顔をして生垣に寄りかかっていた。
「お客さん、足をけがしていらっしゃいますよ」
和智君は私が家内と子供を下へ伴れに往っている間に、二階の簷から飛びおりて右の足首をくじいていた。
「そいつはいかん、僕がもんであげよう」
私は和智君を崩れた煉瓦の上へかけさして、くじいた足首のあたりを揉んだ。