Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.416 Zeichen · 53 Bildschirme
も、魚や鳥や卵など、おまけに薬まで人にやっていたんだそうです、薬までも、ですよ先生」治兵衛のひそめた声が、怒りのためにふるえた、「――なんと云いようがありますか、私はのぼせあがるほどはらが立って、いきなりここへどなりこみました」
登は病人の顔を眺めていた。
――いったいなんのためだろう。
佐八のげっそりと骨立った顔を眺めながら、登は心の中でそう呟いた。佐八のしたことは常軌に外れている。思い遣りが深い、などという性分だけでは、そこまで人に尽せるものではない。治兵衛は「神か仏の生れ変りのような」と云ったが、登にはそうは思えなかった。もっと現実的な、むしろ、人間臭いなにかの理由があるのではないか、というふうなものが感じられたのであった。
佐八が深い太息をつき、また眼をあいた。血のけを失った白い唇に微笑がうかび、誰かに向かって頷いた、「きれいだ、うん」佐八はこんどもはっきりした声で云った、「おまえはきれいだ、そのえくぼがなんともいえないよ、おなか、こっちへおいで」
そして突然、佐八の顔に恐怖の表情があらわれた。骨立った頬が硬ばり、大きく眼をみひらき、白く乾いた唇がふるえて、歯があらわれた。