Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.416 Zeichen · 53 Bildschirme
七
七
「よけいな口をきくな」と治兵衛はきめつけてから、登に向かって云った、「お聞きのとおりですから、私はちょっといって来ますが」
登は頷いた。
治兵衛がその男と出ていくと、手伝いの老婆も、うちをみて来ると云って、裏口からたち去った。するとまもなく、治兵衛といっしょに出ていった男が、一人でふらふらと戻って来、あいそ笑いをしながら、上り框へどしんと腰をおろした。
「だめよ平さん」若い女房が勝手から出て云った、「差配さんに怒られたばかりじゃないの、御病人に障るから帰ってちょうだい」
「養生所の先生ですね」男は登に向かって云った、「おらあ平吉ってもんで、新出先生とは古い馴染です、ええ、このむじな長屋では佐八とおいらがいちばん古い店子でしてね、その佐八が重病だってえのに、おいらに会わせてくれねえ、――そこにいるお松なんぞはよそから来たくせにしやがって、病人に障るから帰れなんてぬかしゃあがる」
「酔ってなければ云やしないわ」と若い女房が云った、「酔ってる平さんは事のみさかいがつかないんだもの、差配さんだってそう云ったでしょ」
「うるせえうるせえ」平吉という男は首を振って遮った、「おらあ九つの年から飲み始めて、四十年ちかいあいだ酒の気の切れたことのねえ人間だ、素面のときは知らねえが、酔ってるときに事のみさかいのつかねえようなためし