Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.548 Zeichen · 47 Bildschirme
登は思いだした。
「いやなやつだった」と登は云って、訝しげに半太夫を見た、「――あの男が戻って来るって、……ここへか」
「ここへさ」
「彼は御目見医になった筈じゃないか」
「ならなかったらしいな」と半太夫が云った、「いちどは席を与えられたが、へまをやって番を外されたということだ」
「それでここへ戻るのか」
「そういうことだ」半太夫は茶を啜って云った、「ここでも人が要るらしいからな」
「ここで人が要るって」
「ああ」と半太夫は話を変えた、「猪之とお杉が夫婦約束をしたそうだが、知っているかね」
登は首を振った。半太夫はそのほうへ話をもってゆき、登も興を唆られて聞いた、「ここでも人が要る」ということに、なにか意味がある、などとは思いもよらなかったのである。半太夫の話によると、狂女おゆみはもう余命いくばくもない、という状態らしい。正月までもつかもたないかという病状で、もしおゆみが死ぬとすれば、お杉は実家へ帰ることになるし、実家には「帰りたくない」事情があるそうで、そのとき猪之と夫婦になり、二人で世帯を持とうという相談がきまった、ということであった。
「この養生所でこんな明るい話を聞くのは初めてだ」