Japanische Klassiker mit Furigana
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てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
Lesen Sie 鉄の処女 (てつのしょじょ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.706 Zeichen · 42 Bildschirme
私共はあのお仲の好い御夫婦の事でいらっしゃいますから、御一緒に御散歩でも遊ばすのかと思い、気にも止めませんでした。が、云々』
当の東伯爵の談としては、
『何人が私の名を騙り、妻に電話をかけたのか見当もつきません。妻自身が電話口に出たとすれば、声でも私か、私でないか分りそうなものです。誰かに誘い出されて、どこかで毒を呑まされ、送りかえされたとしか思われませんが、しかし妻は冷静な沈着な女です。無暗に他人に欺さたりするような事は断じてありません、が、また決して自殺するような類の女でもありません、近頃少し健廉を害してはいましたが、新らしく起したある社会事業の方に熱中し、頻りに奔走していましたし、子供がないので、事業を子供だと思って、全力を挙げて育てるのだと申し、希望に満ちた生活をしていた際ですから、少し位健康を害していたと云って、それを苦にしてどうのこうのというような事もありません。突如として最愛の妻の生命を奪われた夫の立場として、云い度い事は沢山ありますが、今は何も申しません。ただ警視庁の方々のお力を頼み、かつ信じているばかりです』
S夫人はその時ふと新聞から眼をはなして云った。